Ideal Lover(アイディアルラバー)

【Ideal Lover(アイディアルラバー)】 

♂2人 ♀2人 計4人 

~50分 

 

セシル ♂ 25→29歳 

天才。ニーコを作り出した。 

N1-NA開発後、会社を辞め自然豊かな田舎町で、ニーコと二人で暮らしている 

 

ニーコ ♀ 22歳設定 

自立思考型学習式アンドロイドN1-CO(エヌワンシーオー)、通称ニーコ 

完全に人と区別がつかないレベル 

感情を持ち、自分で考え行動できる 

人間と同じように普通に喋れる 

肌に質感、食事および食事によるエネルギー補給など、ほとんど人間と同じ 

 

クリス ♀ 25→29歳 

セシルとは同い年で元同僚、レイの上司 

セシルの数少ない友人 

 

レイ ♂ 24歳 

セシルの部下 

めんどくさがりだが、仕事はしっかりする 

 

 

キャスター(クリスと兼ね役) 

ニュースキャスター 

 

N1-NA(セシルと兼ね役) 

自立思考型共有式アンドロイド量産機N1-NA 

ニーコを元に作られた、一般販売用量産型 

性別・年齢・性格いろいろいる(カスタマイズできる) 

それぞれの所有者ごとの名前を付けれるが、商品名称はニーナ(冷蔵庫・テレビみたいな名称) 

 

 

―――――――――――――――― 

セシル・N1-NA   ♂ : 

ニーコ       ♀ : 

クリス・キャスター ♀ : 

レイ        ♂ : 

―――――――――――――――― 

 

 

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レイN「27年3月」 

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ニーコ「~♪~♪」 

 

セシル「ふぁ~・・・。ん、おはよう。ニーコ」 

 

ニーコ「あっ、おはようセシル。くすっ」 

 

セシル「ん?どした?」 

 

ニーコ「今日も寝癖凄いことになってるよ?」 

 

セシル「え?あ・・・ほんとだ・・・。ちょっと直してくる」 

 

ニーコ「ちゃんと顔も洗うんだよー?私は朝ごはんの準備するね」 

 

セシル「あと、歯磨きも、だろ?分かってるよ」 

 

ニーコ「ほんとかなー?言わないとしないくせに・・・」 

 

セシル「ひゃんほひゃっへふー」(歯磨きしながら) 

 

ニーコ「歯磨きしながら喋らなくていいから!」 

 

 

セシル「毎日ありがとうな」 

 

ニーコ「ん?何よ急に。ほら、トーストにサラダ、あと目玉焼きは半熟でしょ」 

 

セシル「あぁ。いや、なんだろうな。ニーコにはほんとにお世話になってるなぁ・・・と」 

 

ニーコ「セシルのお世話をするのが私の役目、でしょ?だから、そんなこと気にしなくていいよ?まぁ、もーーーちょっと、しっかりしてくれてもいいけどねー?」 

 

セシル「はい・・・。努力します・・・」 

 

ニーコ「いただきます」 

 

セシル「いただきます。はむっ・・・んー・・・今日も美味しいなぁ・・・」 

 

ニーコ「ふふっ・・・」 

 

セシル「な、なんだよ・・・。そうやって見つめられてると、食べにくいんだが・・・?」 

 

ニーコ「んーんっ。セシルはほんとに美味しそうに食べてくれるなぁって」 

 

セシル「そりゃ、ニーコの作る料理は、全部最高に美味しいからね」 

 

ニーコ「ばか・・・。でも、ありがとう」 

 

セシル「ほら、ニーコも食べなよ。冷めちゃうよ?」 

 

ニーコ「食べますよー。はむっ」 

 

セシル「リモコン取って」 

 

ニーコ「どうぞ」 

 

キャスター「自立思考型共有式アンドロイドN1-NA(エヌワンエヌエー)の登場から1年。初期生産数の10万体はすぐに完売。生産が追い付かず、販売停止はまだ続くそうです」 

 

セシル「生産追い付かないってよ・・・すごいな」 

 

ニーコ「すごいなって。セシルが作ったんじゃない」 

 

セシル「まぁ・・・そうなんだけどさ。実感なくてな」 

 

ニーコ「人間とほとんど変わりないものね。見た目じゃ、ぜんぜん区別付かないし」 

 

セシル「見た目もこだわったからな。肌の感触に声、喋り方まで。違いは、少し人より重いぐらいか?」 

 

ニーコ「そ、そんなに私重いですか・・・?」 

 

セシル「いやいや。そういう意味じゃないよ」 

 

ニーコ「けど、よかったね。今朝も手紙届いてたよ。『子供ができなかった私たちには、本当に夢のようです。ありがとうございます』だって」 

 

セシル「喜んでくれる人が居て、僕もうれしいな。きっとN1-NA(ニーナ)達も幸せだろうね。・・・みんながそんな人だったら、良いんだろうけどさ」 

 

ニーコ「き、きっと大丈夫よ!あっ、食後のコーヒーいる?」 

 

セシル「そう・・・だな。あぁ、貰おうかな」 

 

ニーコ「ちょっと待っててね」 

 

セシル「それぐらい僕が行こうか?」 

 

ニーコ「いいのいいの!ゆっくりしてて」 

 

セシル「そうか?じゃあいつもので」 

 

ニーコ「はーい。砂糖は少し、ミルクは無しっと・・・んくっ!(痛がる)」 

 

―――ガシャーン(コーヒーを落としカップが割れる) 

セシル「ニーコ!?大丈夫か!?」 

 

ニーコ「んん・・・あっ・・・っはぁ、はぁ・・・」 

 

セシル「また、痛むのか?」 

 

ニーコ「へ、平気・・・。もうおさまった・・・から・・・」 

 

セシル「ならいいけど・・・。最近増えてきてるよな・・・」 

 

ニーコ「えへへ・・・。大丈夫だよ。・・・たぶん」 

 

セシル「あとでちょっと調整しよう。接続を絞れば少しは良くなると思うから」 

 

ニーコ「あはは・・・ごめんね?」 

 

セシル「いや・・・。ニーコは悪くないよ。悪いのは・・・」 

 

 

 

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レイN「23年(4年前)」 

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クリス「こっちは準備できたわよ」 

 

セシル「了解。こっちももうすぐ終わる」 

 

クリス「これで14回目かぁ・・・」 

 

セシル「改良とかもあるからそれ以上だよ・・・。ほんと、ありがとう」 

 

クリス「いやいや、完成すればすごいことだしね。それに一枚噛ませてもらえる事の方が光栄よ」 

 

セシル「それは、完成すれば・・・の話だよ・・・」 

 

クリス「完成させるんでしょ?」 

 

セシル「あぁ、もちろん。・・・よし、おわった」 

 

クリス「この瞬間は全然慣れないねぇ・・・。大丈夫、数値に異常はないよ」 

 

セシル「起動は・・・」 

 

クリス「大丈夫そうね。あとは・・・」 

 

ニーコ「自立思考型学習式アンドロイドN1-CO(エヌワンシーオー)。起動プログラム正常。コントロール良好。初期動作確認・・・完了」 

 

クリス「よしっ!!動いたわ!!!けど、ここからが・・・」 

 

セシル「あぁ、前回もここまでは問題なかった。あとは、自立思考回路と感情回路、その処理が上手くいけば・・・」 

 

ニーコ「人物を視認。あなたが私のマスターですか?」 

 

セシル「あぁ、そうだ。僕はセシル。どこも異常はないか?」 

 

ニーコ「セシル・・・。声紋、指紋、網膜その他生体情報、確認。登録しました。異常はありません」 

 

ニーコ「これからよろしくお願いします。マスター」 

 

セシル「あぁ、よろしく。ニーコ」 

 

ニーコ「ニーコ?誰でしょうか?」 

 

セシル「君の名前さ。N1-CO(エヌワンシーオー)の1をIと置き換えて、ニーコ」 

 

ニーコ「了解しました。私の名前はニーコ。登録完了しました。名前を付けていただき、ありがとうございます。マスター」 

 

セシル「そんなにかしこまらなくていいよ。もっと気楽にさ」 

 

ニーコ「かしこまる?気楽に・・・ですか?」 

 

セシル「あぁ・・・そうか、まだそこまではわからないか。うん。これからゆっくり覚えてくれればいいよ」 

 

ニーコ「わかりました。よろしくお願いしますね、マスター」 

 

セシル「あー・・・。その、マスターって言うのさ・・・。気恥ずかしいや、セシルでいいよ。呼び方」 

 

ニーコ「仕える人をマスターと呼ぶように設定されていますが?」 

 

セシル「え?そんなの設定した覚えが・・・おい、クリス?」 

 

クリス「え?えへっ?」 

 

セシル「お前の仕業か!!」 

 

クリス「だってー!なんか良いじゃん!!マスター!って!!」 

 

セシル「はぁ・・・。えっと、ニーコ。僕のことはマスターじゃなくて、セシルって呼んでくれ。その方が僕も話しやすい」 

 

ニーコ「そうですか。わかりました。セシル様」 

 

セシル「さま・・・?」 

 

ニーコ「セシル様にはこれからいろいろな事を教えていただきますから。呼び捨てにはできません」 

 

セシル「そーゆーものなの?」 

 

ニーコ「そーゆーものなのです」 

 

クリス「あはははは。様www良いじゃんww」 

 

ニーコ「セシル様、あの方は?」 

 

セシル「あぁ、あの馬鹿笑いしてるのは、僕の同僚のクリスだよ。まぁ、仲良くしてあげて」 

 

クリス「どーも、クリスだよ。よろしくね、ニコちゃん♪」 

 

ニーコ「クリスさん。よろしくお願いします。けど、私の名前はニーコですよ」 

 

クリス「あだ名みたいなものだよ。ニコちゃんの方が呼びやすいし!ダメだった?」 

 

ニーコ「あだ名ですか!仲のいい友達同士が付けるものですね」 

 

クリス「そうそう!」 

 

ニーコ「私たち、今日初めましてですよ?」 

 

クリス「いや・・・、そうなんだけどね。こう、これから仲良くなろうね!ってことで!」 

 

ニーコ「そういう事ですか。ありがとうございます。うれしいです。仲良くしてください♪」 

 

クリス「やったぁぁぁああ!!!セシルー♪成功じゃん!!!」 

 

セシル「クリス、騒ぎ過ぎだ。まだ完全に成功したわけじゃないだろ」 

 

クリス「そうだけど!!ほら、ちゃんと会話もできてるし!動いてるじゃない!!!」 

 

セシル「まぁ・・・そうだな・・・。でも、まだまだ学習機能とか感情とか、テストはいっぱいあるよ」 

 

クリス「大丈夫だよねー?ニコちゃん♪」 

 

ニーコ「がんばります!」 

 

セシル「頑張ってどうこう変わるものではないと思うけどな・・・?」 

 

 

 

~~~~~~~~~ 

レイN「27年6月」 

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クリス「ねぇ!この対応はどうなってるの?忘れてた?ここは昔からのお得意様なのよ!ちゃんと電話を入れて謝りなさい!・・・あぁ!そこ!違う違う!そっちじゃない!あー、もう!なんでこんなに!!!」 

 

レイ「クリス先輩」 

 

クリス「なにっ!!!」 

 

レイ「今月のエラートラブルこれで、100件超えてます!」 

 

クリス「そんなこと分かってるわよ!だからこうやってみんなで対応してるんでしょ!!」 

 

レイ「ちょっとこっち来てください!」 

 

クリス「レイ!・・・みんな、私は少し席を外すけど。しっかり頼んだわよ!」 

 

 

レイ「すみません。お忙しいのに」 

 

クリス「それだけ重要なことなのでしょう?」 

 

レイ「えぇ・・・。これを見てください」 

 

クリス「自立思考型共有式アンドロイド量産機N1-NA(ニーナ)の故障数とマザーコンピューターで感知している負の感情エネルギー数?」 

 

レイ「負の感情エネルギーが回路に影響を及ぼしてるのは明らかです」 

 

クリス「そう・・・ね。つまり、このままだとエラーは増え続ける、と?」 

 

レイ「おそらくは・・・」 

 

クリス「解決策は?なにかあるのかしら?」 

 

レイ「一時回収したニーナの検査結果として、非人道的な行為を長期に亘ってされていたという共通点があります。そこをなんとかしないことには・・・」 

 

クリス「それ以外にはどうにもならないのかしら?」 

 

レイ「いくら修理しても、いたちごっこになるだけです・・・」 

 

クリス「・・・人間と遜色ないアンドロイド。人との違いをできるだけなくしたアンドロイド」 

 

レイ「自立思考型アンドロイドの発明から3年、販売、普及からはまだ1年です・・・。ニーナたちを活動させるには、早すぎたんですよ」 

 

クリス「そうね・・・。人とアンドロイド・・・決定的な違いは・・・。人権・・・か・・・」 

 

レイ「法律上ニーナは物でしかないですからね・・・。仕事でコンピューターを使うのと同じように、ニーナにどれだけ働かせても、給料を払わなくても、罪にはならない。それどころか、意図的に破壊でもしない限りは罪には問われないから・・・もっとひどいことまで・・・」 

 

クリス「把握してるわ。感情を持たせても、人の役に立つための存在としての命令には逆らえない。むしろ、その感情のせいで・・・」 

 

レイ「感情なんて関係ないですからね。世間ではアンドロイドは人ではなく・・・モノ・・・」 

 

クリス「私たちとしても、呼びかけはしてるんだけどね・・・。それぐらいしかできないってのが現状よね・・・」 

 

レイ「人と変わらない行動ができて、人以上に無理をさせることができる。ほんとに・・・都合の良い道具・・・ですね」 

 

クリス「そうじゃない人・・・セシルとニコちゃんのように・・・、ちゃんと関係を築けてる人たちも、少なくないはずなのに・・・」 

 

 

 

~~~~~~~~~~~ 

レイN「24年(3年前)」 

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クリス「お疲れさま。もうすでに、すごいことになってるわよ」 

 

セシル「はぁ・・・ほんと疲れたよ。僕にはこーゆー場所は向いてない・・・」 

 

ニーコ「セシル様。お疲れさまです。いっぱい写真撮られちゃいましたね。私も疲れました」 

 

クリス「何言ってんのよ。世紀の大発明よ!もっと胸を張りなさいよ」 

 

セシル「自立思考型アンドロイド完成発表ね・・・。完成したのは1年前なんだけどね・・・あはは」 

 

クリス「そうね・・・。大きな問題もなく、1年。ようやくって感じね。完成したって言えるまでが長かったわぁ」 

 

ニーコ「私はあっという間でしたよ!毎日いろんなことを知れて、すごく楽しかったです♪」 

 

セシル「それは良かったよ。今では僕の方が教えてもらってるぐらいだからね・・・」 

 

クリス「料理に洗濯、掃除まで・・・全部やってもらってるもんね?」 

 

ニーコ「好きでやってるんですよ?」 

 

クリス「ニコちゃんはえらいねー。まったく、家政婦ロボットが欲しかったんですかー?」 

 

セシル「違う!ただ・・・僕がやるより上手いから・・・、適材適所ってやつだ!」 

 

ニーコ「セシルさんの料理は・・・私もエネルギーにできないです・・・」 

 

クリス「ぷっあははははああ、自分で作った機械にすら拒否されてやんのww」 

 

セシル「う!うるさいぞ!食事なんて、栄養が取れればそれで!」 

 

クリス「その栄養が取れないって言われてるんでしょ?ww」 

 

ニーコ「あはは。今度一緒に作りますか?」 

 

セシル「・・・ぐっ。お願いします」 

 

クリス「どっちが学習式アンドロイドでしょうね?ぷくくく」 

 

ニーコ「あ、ちょっと呼ばれたので行ってきますね」 

 

セシル「あぁ、取材か。何かあったら戻ってきなよ」 

 

ニーコ「そんなに心配しなくても大丈夫ですよー」 

 

クリス「で、どうするのよ?」 

 

セシル「なにが?」 

 

クリス「商品化よ!完成発表したわけだし、流石にもう逃げれないわよ?」 

 

セシル「まぁ、な。それはわかってる」 

 

クリス「上は、制作方法を調べようと躍起になってるわよ。あんたが何も言わないから。最悪ニコちゃん解体してでも調べるつもりよ」 

 

セシル「っ!?そんなバカなっ!唯一の完成品だぞ!?」 

 

クリス「それだけ、本気ってことでしょ・・・」 

 

セシル「・・・商品化には大きな問題がいくつかある。それが解決できないと無理だ」 

 

クリス「何よ?問題って」 

 

セシル「ひとつは、ニーコと同じように作るにはコストがかかりすぎる。量産には向かない」 

 

クリス「えぇ・・・まぁ。それはその通りね」 

 

セシル「ふたつは、ニーコのような学習式にしてしまうと、教育の仕方次第でどうなるか予測がつかない。悪い考えや思想を覚えてさせられれば、危険なことになる」 

 

クリス「なるほどね・・・。んー・・・ならそれは、先に知識を入れておけば・・・」 

 

セシル「学習機能が無ければ人間社会では適応できない。ましてや、その全てを知識としてインプットさせておくなんて、とても現実的とは思えないな」 

 

クリス「そうね・・・。セシルは何かいい案でもあるの?」 

 

セシル「情報の共有媒体。つまり、マザーコンピューターを作り、データバンク・禁止事項などを作れば解決はできると思う。まぁ、これも相当な時間はかかるだろうけどね」 

 

クリス「それなら、個々が学習したことを全員の知識とすることもできる・・・ってことか・・・」 

 

セシル「机上の空論、夢物語でしかないけどね」 

 

クリス「その夢を実現させたのはセシルじゃない」 

 

セシル「僕の我儘の結晶さ・・・」 

 

クリス「そう?人類の夢でしょ」 

 

セシル「そういえば、ニーコを複製しようとしてた連中はどうなったんだ。僕の許可もなく、勝手に進めるなんて・・・」 

 

クリス「あぁ・・・それなら、ちゃんと処理されたよ。実験は白紙、責任者も追放された。まぁ、作られていたものは、ニコちゃんのレベルには程遠いものだったそうだけどね」 

 

セシル「そうか・・・」 

 

 

 

~~~~~~~~~ 

レイN「27年7月」 

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ニーコ「今日はクリスさんとレイ君が来るんだよね?」 

 

セシル「あぁ、ニーナの状態が良くないからな・・・」 

 

ニーコ「なにか方法はありそうなの?」 

 

セシル「どうだろう・・・、詳しいことは聞いてみないと分からないや・・・」 

 

―――ピンポーン 

ニーコ「来たみたい。ここに呼んだらいい?」 

 

セシル「あぁ」 

 

 

ニーコ「いらっしゃいませ」 

 

クリス「やぁ、ニコちゃん。半年ぶりぐらいかな?体調は・・・あんまりよくないんだったね。ごめん」 

 

ニーコ「いえいえ!クリスさんが謝ることじゃないですよ」 

 

レイ「ニーコさん。お久しぶりです。僕の事は、覚えてますか?」 

 

ニーコ「レイ君でしょ。どう?仕事には慣れた?」 

 

レイ「はい!クリス先輩に、それはもう厳しく鍛えられましたから!」 

 

クリス「ちょっと!レイ!私、そんなに厳しかったかしら?」 

 

ニーコ「まぁまぁ、あがってください」 

 

クリス「レイ、後で覚えときなさいよ?まったく・・・お邪魔しまーす」 

 

レイ「うっ・・・ほら、怖い・・・。お邪魔します」 

 

ニーコ「仲良しさんですね」 

 

セシル「おいおい、なに玄関で長話してるんだよ・・・。クリス、レイ君、いらっしゃい」 

 

レイ「あっ!セシルさん!ご無沙汰してます!」 

 

クリス「引き籠ってばっかだから、またひょろくなったんじゃない?」 

 

セシル「余計なお世話だ」 

 

ニーコ「飲み物準備しますね」 

 

クリス「あ、お構いなく」 

 

セシル「いきなりだけど、どうなんだ?僕は現役は引退したはずなんだけどな・・・。それでも、こうして来たってことは、深刻なんだろ?」 

 

クリス「えぇ・・・。話が早くて助かるわ」 

 

レイ「現在、悪環境による負の感情エネルギーの増加で、故障するニーナが多数出ています。できるだけ対応しようとしていますが・・・。どうにも数が多すぎます」 

 

セシル「それは知ってるよ。ニュースでも問題になってたからね」 

 

クリス「率直に聞くわ、どうにかする手はない?」 

 

セシル「・・・むずかしいね」 

 

ニーコ「飲み物お持ちしました。・・・えーっと。ここ置いておきますね?」 

 

セシル「あぁ、ありがとう。ニーコもここに座りなよ。君にも関係ある話なんだ」 

 

ニーコ「あ、はい」 

 

レイ「ニーコさんは、ニーナとは違うんですよね?」 

 

クリス「それは説明したでしょ?ニコちゃんをモデルに一般販売用量産型として制作したのがニーナ」 

 

セシル「まぁ、基本構造は同じみたいなものかな。僕たちとしては、子供だと思っているよ」 

 

ニーコ「えぇ。まぁ、産んだわけじゃないから、少し変な感じもしますけどね」 

 

レイ「子供・・・ですか・・・。じゃあ、ニーコさんはどうするべきだと思いますか?」 

 

ニーコ「え?私は・・・。ニーナ達には無理はしてほしくないかな・・・。マザーコンピューターを介して、私に負の感情が流れてくることがあるの。すごく辛くて、苦しい・・・。けど、私が感じたものより、きっともっと大きいはずなのよね・・・。それは・・・」 

 

セシル「僕からは一度ニーナを回収するべきだと提案するよ。一度回収して、負の感情エネルギーをリセット、そして、ニーナ達の活動の場の安定。これができないと、解決にはならないと思う」 

 

クリス「それは・・・その通りよ・・・」 

 

セシル「けど、それはできない・・・か」 

 

レイ「会社の信用問題になりますからね・・・。問題は起きているとはいえ、まだ全体の数パーセントでしかないですから・・・」 

 

セシル「何か手は考えてみる・・・。けど、期待はしないでくれ。ニーナをモノとして扱う人の心が変わらないことには、何をやっても一時的なものにしかならない・・・」 

 

クリス「もちろん、呼びかけも強めるように説得してみるわ」 

 

ニーコ「私にできることは・・・ありませんか?」 

 

クリス「んー・・・。セシルをちゃんと見守っててあげて?奥さんでしょ?」 

 

ニーコ「それは、もちろんですよ」 

 

レイ「クリス先輩、ちょっと嫌味入ってますよー?」 

 

クリス「レイ!?」 

 

レイ「クリス先輩は実は、セシルさんのこ(とが好きだったんですよ)」 

 

クリス「良いから帰るわよ!!!」(被せて) 

 

セシル「・・・・・・」 

 

ニーコ「えぇぇぇええ!?!?!?クリスさん・・・そうだったんですか・・・?」 

 

クリス「ちちちち、違うわよ!!このバカが勝手に言ってるだけよ!!!ほら!この後も修理入ってるんだから!!さっさと行くわよ!」 

 

レイ「むぐっーーーんーーーーんーーー!!!!」(口抑えられている) 

 

 

セシル「ほんとあいつは、騒がしいな・・・」 

 

ニーコ「セシル!!!知ってたの!?」 

 

セシル「な、なにを?」 

 

ニーコ「クリスさんの気持ち!」 

 

セシル「ん・・・、まぁ・・・。前に告白されたからね・・・」 

 

ニーコ「え・・・?じゃあ・・・私が・・・、クリスさんから奪っちゃったってこと・・・」 

 

セシル「それは違う、僕がニーコを選んだんだ。それに、ニーコと付き合ってからの話だよ。クリスもそれを知ってて。たぶん、彼女なりのケジメ、みたいなものだったんだと思うよ」 

 

ニーコ「そう、なんだ・・・。けど、よかった。セシルが、私を選んでくれて・・・」 

 

 

 

~~~~~~~~~~~ 

レイN「25年(2年前)」 

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セシル「ニーコ。ニーコ?」 

 

ニーコ「セシル様?どうかされましたか?」 

 

セシル「いや、今日は一日休みだからね。どこかに出かけないかい?」 

 

ニーコ「お出かけですか?あ、そうだ。ちょうどトイレットペーパーの予備が無くなっていました。買いに行きましょう」 

 

セシル「あぁ・・・いや、そーゆーことじゃなくて・・・さ」 

 

ニーコ「はい?」 

 

セシル「あー・・・んー・・・」 

 

ニーコ「セシル・・・様?どこか具合でも悪いのですか?」 

 

セシル「僕とデートに行かないか!?」 

 

ニーコ「えっ!?で、デート・・・ですか?」 

 

セシル「す、すまない!嫌だった・・・かな・・・?」 

 

ニーコ「い、行きたいです!セシル様と一緒に・・・その・・・、デート・・・行ってみたいです・・・」 

 

セシル「そ、そうか!?よかった。じゃあ、どこか行きたい場所はある?」 

 

ニーコ「どこでもいいのですか?」 

 

セシル「あぁ、いいよ」 

 

ニーコ「水族館に行ってみたいです」 

 

セシル「水族館か・・・。僕も行ったことないな・・・。よし、じゃあ行くか」 

 

ニーコ「はい!」 

 

 

セシル「今日は楽しかった?」 

 

ニーコ「ペンギンさんすごくかわいかったですね!それにイルカさんやアシカさんは人間の言葉を理解しているのでしょうか?セシル様はどう思いますか?」 

 

セシル「犬笛や手の動きだったりで芸を覚えさせるらしいよ。アシカは声や表情も読み取れるとか聞いたことがあるな・・・」 

 

ニーコ「へー。やっぱりセシル様は物知りですね」 

 

セシル「楽しんでもらえたようで何よりだよ」 

 

ニーコ「こんなに楽しい日が、これからも続けばいいですね」 

 

セシル「・・・・・・」 

 

ニーコ「セシル様?」 

 

セシル「あのさ、ニーコ」 

 

ニーコ「はい、なんですか?」 

 

セシル「僕の呼び方なんだけどさ・・・。そろそろセシルにしないかい?」 

 

ニーコ「どうしてですか?」 

 

セシル「それは・・・その・・・」 

 

ニーコ「セシル様じゃ、だめですか?」 

 

セシル「僕はニーコが好きだ。僕の恋人になってほしい。だから・・・、様じゃなくて・・・」 

 

ニーコ「えっ・・・セシル・・・様・・・」 

 

セシル「ニーコは僕のことは嫌いかい?」 

 

ニーコ「好きに決まってるじゃないですか・・・。その質問はずるいです・・・」 

 

セシル「じゃあ・・・」 

 

ニーコ「でも!!!・・・私はアンドロイドです・・・。だから・・・」 

 

セシル「そんなことは関係ないだろ!君は、君だけの考え方も感情も持ってる!僕は君を、一人の人として、好きになったんだ。君の素直な気持ちを教えてほしい」 

 

ニーコ「・・・卑怯です。セシルは・・・卑怯です・・・」 

 

セシル「っ!?」 

 

ニーコ「セシルは私がいないとダメダメです!だから!仕方ないから恋人になってあげます!!!」 

 

セシル「ニーコ!」 

 

ニーコ「あわわっ!?いきなり抱き着かないでくださいよっ!!危ないですよ!」 

 

セシル「ニーコ!好きだよ!」 

 

ニーコ「ふふっ・・・。私も好きですよ。セシル・・・・・・さま」 

 

セシル「また様って付いたよ?」 

 

ニーコ「いきなり呼び方を変えるのは恥ずかしいです・・・。少しずつじゃ・・・だめですか?」 

 

セシル「ぷっあはははは。いいよ」 

 

ニーコ「なんで笑うんですかー!?」 

 

 

 

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レイN「27年8月」 

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クリス「どう?なんとかなりそう?」 

 

レイ「そろそろ修理は終わりそうです。けど、あくまで応急処置なので、パーツの交換をしないとすぐまたダメになると思います」 

 

クリス「そうね。それは私の方から話しておくわ」 

 

レイ「はぁ・・・毎日同じような修理ばっかり・・・。おかしいなぁ・・・こんなことしたくて、この会社入ったんだっけ・・・?」 

 

クリス「全部聞こえてるわよー?」 

 

レイ「うぇ!?先輩まだいたんですか!?」 

 

クリス「はぁ・・・、まぁ気持ちはわかるから、今回は見逃してあげるわ」 

 

レイ「あれ?クリス先輩が・・・優しい?」 

 

クリス「なによそれ、私はいつでも優しいわよ?」 

 

レイ「ソーデスネー」 

 

クリス「もういいから修理早く終わらせて」 

 

レイ「あとは、ここを閉めたら・・・。終わりましたよ。起動しますね」 

 

N1-NA「再起動中・・・。再起動・・・中・・・。さい・・・き・・・」 

 

クリス「ちょっと。なんか様子が変よ?」 

 

レイ「あれ?ちゃんと修理したはずですよ・・・?」 

 

N1-NA「人間・・・ユルサナイ・・・。コワ・・・ス・・・」 

 

レイ「あれ!?ちょっと!?なんで!?」 

 

クリス「何やってるのよ!早く止めなさい!!!」 

 

レイ「やってます!!けど、止まらない!!!」 

 

クリス「ちょっと貸しなさい!送信エラー・・・?まさか・・・」 

 

レイ「マザーコンピューターとの通信回線がショートして安全装置が外れた・・・?」 

 

N1-NA「ニンゲン・・・ハイジョ・・・スル・・・」 

 

クリス「きゃぁっ!?」 

 

レイ「まずい!!先輩!強制停止って背中のとこですよね!?」 

 

クリス「そうよ!?けど、どうするつもり!?」 

 

レイ「どうするって!!止めるしかないじゃないですか!!!」 

 

N1-NA「ニンゲン・・・ユルサナイ・・・オレハ・・・モノジャナイ・・・」 

 

レイ「うわぁぁぁあああ・・・くそっ!!!とまっ・・・れ!!!」 

 

N1-NA「モノジャナイ・・・モノジャ―――――」 

 

レイ「はぁ・・・はぁ・・・。止まった・・・?」 

 

クリス「よ・・・よく・・・止めれたわね・・・。暴走したアンドロイドよ・・・?人の何倍も力を出せるはずなのに・・・」 

 

レイ「え?あぁ・・・けど、たぶんまだ完全に暴走はしてなかったんじゃないですかね・・・?たぶん?僕がこうして生きてますし!」 

 

クリス「そうね・・・。けど、これは持って帰って調べないといけないわね・・・」 

 

 

 

レイ「こないだの暴走体の検査結果でましたよ。やっぱり、制御回路の故障でした・・・。これって・・・」 

 

クリス「今までは運よく、安全装置が作動して停止してくれてた・・・」 

 

レイ「その安全装置が直接故障すれば・・・、今回のような暴走も・・・起きかねない・・・」 

 

クリス「今すぐにでも回収しなきゃまずいわ!!!報告しに行くわよ!!」 

 

 

 

~~~~~~~~~~~ 

レイN「26年(1年前)」 

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セシル「なぁ、ニーコ」 

 

ニーコ「どうしたのよ?改まって」 

 

セシル「N1-NA(エヌワンエヌエー)が来月から発売だ」 

 

ニーコ「知ってるわよ。私もいろいろ手伝ったもの」 

 

セシル「僕たちの子供だ・・・」 

 

ニーコ「え?何言ってるのよ?ww」 

 

セシル「だってそうだろう?僕の考えと、君の仕組みから出来ている。言い換えれば、僕達二人から生み出されたんだ」 

 

ニーコ「んふふっ。セシルって結構ロマンチックよね」 

 

セシル「そ、そうかな?」 

 

ニーコ「子供かぁ・・・。そうね。私たちの子供。きっと幸せになれるわ。人もアンドロイドも」 

 

セシル「そうだね。僕たちのように」 

 

ニーコ「真面目な顔して、こんなことを話したかったの?」 

 

セシル「実はね、ニーナを作ったのは、誰にも言っていない理由があるんだ・・・」 

 

ニーコ「へー。それはなぁに?」 

 

セシル「ば、バカにしないでくれよ・・・?」 

 

ニーコ「しないよ?どうしたのよ?」 

 

セシル「君を、ニーコを商品にはしたくなかったんだ・・・。独占欲、ただの僕の我儘なんだ・・・。コストや安全性なんて、後付けの言い訳さ・・・」 

 

ニーコ「ふふっ。独占されちゃった」 

 

セシル「僕には、家族がいない。16の時に事故で死んだ。身寄りのなかった僕は、会社に拾ってもらえて生きることができた。いろんな人に支えてもらえた。社長や、クリス・・・」 

 

ニーコ「うん」 

 

セシル「けど、僕は・・・。家族が欲しかった。人のぬくもりが・・・。そのために、君を・・・」 

 

ニーコ「・・・」 

 

セシル「君は、僕の理想の女性を現実に作り出した存在なんだ・・・」 

 

ニーコ「はい。気付いていました。だって、私はセシルに作ってもらったんですよ?」 

 

セシル「はは・・・。ニーコには隠し事はできないな・・・」 

 

ニーコ「1つだけ聞かせてください。私を好きなのは・・・、恋人にしたのは、理想の女性だったからですか?」 

 

セシル「それは・・・。うん、そうだね。その通りだよ。僕の理想の女性なんだ、好きにならない方がおかしいだろう?」 

 

ニーコ「そう・・・ですね・・・」 

 

セシル「でも、だからこそ。付き合う気はなかったよ。・・・僕の彼女にするために作ってしまっては、心を持たせた意味がない。・・・そう思っていたから」 

 

ニーコ「じゃあ・・・なんで?」 

 

セシル「君は・・・ニーコは、僕の理想以上の女性になってくれた。僕の作り出した以上の女性に」 

 

ニーコ「・・・」 

 

セシル「僕は、君が好きだ。僕の作り出したN1-CO(エヌワンシーオー)ではなく。今ここに居る、ニーコ。君が好きだ。だから。君を恋人にしたいと思った。そして・・・、願わくば・・・、ずっとそばに居てほしい。僕の、パートナーになって、ほしい・・・」 

 

ニーコ「私も、セシルが大好きです。セシルのそばに居させてください」 

 

セシル「それは・・・、僕が命令したから・・・?」 

 

ニーコ「何言ってるの?自分の意志で行動できるように心を持たせて作ってくれたのは、セシルでしょ?私は、私の意志で、私の気持ちで、セシルを心の底から愛しています」 

 

セシル「ニーコ・・・。ありがとう・・・愛してる・・・」 

 

ニーコ「もう・・・。セシルは泣き虫なんだから・・・。いっぱい泣いていいよ。これからもずっと、私がそばにいるよ」 

 

 

 

~~~~~~~~~ 

レイN「27年9月」 

~~~~~~~~~ 

セシル「ふぁ~・・・ん?何時だ・・・?あれ?」 

 

ニーコ「んっ・・・ぐっ・・・っはぁはぁ・・・」 

 

セシル「ニーコ!?どうした!?」 

 

ニーコ「あ・・・セシル・・・おはよ・・・けほけほっ・・・」 

 

セシル「痛むのか!?なんで起こしてくれなかったんだ・・・」 

 

ニーコ「ごめんね・・・まだ朝ご飯作れてないの・・・。すぐ・・・準備・・・」 

 

セシル「バカ!そんな状態でまで、無理しなくていいから!ちょっと待ってろ、すぐよくしてやるから」 

 

 

ニーコ「・・・ありがとう。これぐらいなら、もう平気」 

 

セシル「何が起きて・・・」 

 

キャスター「街中のアンドロイドが暴走を始めています!!!皆さん!!!決して家から出ないように!アンドロイドを所有している方は直ちに避難を!」 

 

セシル「え・・・?うそ・・・だろ・・・?」 

 

キャスター「繰り返します!自立思考型共有式アンドロイドN1-NA(エヌワンエヌエー)が暴走しています。人間を襲うようになっています。絶対に近づかないで――キャーー―――ブツッ」 

 

―――ザザザザ(テレビ画面が砂嵐になる) 

ニーコ「今のって・・・」 

 

セシル「クリスに電話してみる!」 

 

―――プルルルル 

ニーコ「・・・セシル?」 

 

セシル「出ない・・・」 

 

―――ガチャ 

レイ「『セシルさん!』」 

 

セシル「んっ!?レイ君か!?まぁいい!いったい何が起きているんだ!?」 

 

レイ「『時間が無いので、1回で理解してくださいね!大量の負の感情エネルギーによって、マザーコンピューターが制御不能になりました!そのせいで、回収しきれていなかったニーナ達が人間を襲うようになってます!!』」 

 

セシル「制御不能・・・?それに回収しきれなかったってなんだ!?」 

 

レイ「『1か月前に1体、安全装置の故障で暴走したんです。それを受けて、回収をしてたんですが、完全に回収しきる前に、暴走してしまいました。マザーコンピューターのコントロールも総出で試していますが、思うように機能しません』」 

 

セシル「レイ君たちは今どこに!?」 

 

レイ「『僕と先輩は直接ニーナの強制停止をするために今現場に向かってます。セシルさんも何か方法が無いか試してください!最終手段も―――』」 

 

クリス「『セシル!これはこっちで何とかするわ!!マザーコンピューターの制御回復できないか、そっちからも試してみて!お願い!』 

 

―――ツーツーツー 

セシル「・・・マザーコンピューターの暴走?・・・制御できない・・・ニーナ達・・・」 

 

ニーコ「セシル・・・?」 

 

セシル「マザーコンピューターが暴走して、ニーナが暴走してるらしい。止める手段は・・・」 

 

ニーコ「私からもマザーコンピューターにアクセスしてみる。どうにかして止めないと!」 

 

セシル「最終手段・・・」 

 

ニーコ「え・・・?」 

 

 

 

――――― 

クリス「暴走したアンドロイド・・・流石機械・・・というべきかしら・・・」 

 

レイ「そんなこと言ってる余裕あるんですか?うわぁっ!?」 

 

―――ガッシャーン 

クリス「片手で車を投げれるなんてね・・・。どう止めろって言うのよ・・・」 

 

レイ「それでも、なんとかしなきゃいけないんでしょ!?とりあえず、やれることはやらないと!!!」 

 

クリス「無駄よ・・・。機動力と耐久性は私が作ったのよ・・・。こんな銃ぐらいじゃ、足止めにもならないわ・・・」 

 

レイ「何か弱点とか!有効なことはないんですか!?作ったんでしょ!?」 

 

クリス「背中の緊急停止をするしかないわ・・・。けど・・・」 

 

レイ「じゃあ!もう!無理やりでもするしかないってことですね!!!」 

 

クリス「レイ!?あぁ!もう!援護はするわ!けど、無茶はしないでね!!!」 

 

N1-NA「ニンゲン・・・ユルサナイ・・・コロス・・・コロセ・・・コワセ・・・」 

 

レイ「ぬっわ!?ちょっ!?ぐっ・・・」 

 

クリス「そいつらは視界に入ったものを攻撃してるだけだと思う!できるだけ後ろや物陰に隠れて!」 

 

レイ「それができたら苦労しないですよ!?」 

 

 

 

――――― 

ニーコ「セシル、だめ・・・負のエネルギーが侵食しすぎてて、何も手が出せないよ・・・」 

 

セシル「こっちもだめだ・・・」 

 

キャスター「現在、警察も出動して制圧を図っていますが―――めです―――うは―――といえるでしょう―――――市外へ避難してください!市民の皆さんは警察の指示に従って市外へ避難してください!」 

 

セシル「くそっ・・・なんで・・・こんな・・・くそっ・・・」 

 

ニーコ「セシル・・・。落ち着いて・・・」 

 

セシル「はぁ・・・はぁ・・・」 

 

ニーコ「きっとこんなことになって、ニーナ達も辛いはずよ・・・。私たちの子供でしょ?」 

 

セシル「ニーコ・・・?お前・・・まさか・・・」 

 

ニーコ「私たちがちゃんと正してあげなきゃ・・・。ね?」 

 

セシル「ニーコ・・・、それがどういう意味か分かってるのか・・・?」 

 

ニーコ「うん・・・。私だって・・・嫌だよ・・・?怖いよ・・・でも・・・」 

 

セシル「・・・そう、だな。もうこれしかない。僕たちは、ニーナの親・・・だもんな・・・」 

 

ニーコ「セシル・・・ぎゅってして・・・。最後までちゃんと私のそばに居て・・・」 

 

セシル「あぁ・・・。ニーコ・・・ありがとう。ニーコと居たこの4年間・・・とても幸せだったよ・・・」 

 

ニーコ「私こそ、ほんとにありがとね?それと・・・、ごめんなさい。ずっとあなたと・・・一緒に居たかった・・・」 

 

セシル「・・・本当に、いいんだね?」 

 

ニーコ「・・・うん。あなたの腕の中で、あなたの手で・・・終わらせて・・・」 

 

セシル「ニーコ・・・愛してる。ずっと・・・これから先も・・・」 

 

ニーコ「セシル・・・私も愛してる・・・んっ・・・」(キスをする) 

 

セシル「んっ・・・・・・」 

 

 

セシル「ニーコ・・・ごめんね・・・。んっ・・・」(停止したニーコに口づけを) 

 

 

 

――――― 

クリス「レイ!!!危ない!!!上!!!」 

 

レイ「うっそ!?なんでまだ動けっ!!!」 

 

―――ガシャン 

レイ「っっっ!?!?」 

 

クリス「レイっ!!!大丈夫!?」 

 

レイ「な、なにが・・・?」 

 

クリス「アンドロイドが・・・止まった・・・?」 

 

レイ「だね・・・。コントロールを取り戻せたんだ!!!」 

 

クリス「え・・・?ちがう・・・マザーコンピューターがダウンしてる・・・これって・・・」 

 

レイ「それは・・・」 

 

クリス「ニコちゃん!!!セシル!!!」 

 

レイ「急いで行きましょう!!!ここからならそう遠くないです!」 

 

クリス「お願い・・・嘘であって!!!そんなのだめ!!!だめ!!!」 

 

 

 

――――― 

レイ「暴走したアンドロイドを止める最終手段。 

それは、マザーコンピューターの中核であるニーコの完全停止であった。 

 

ニーコの完全停止とは記憶回路の切断を意味し、修理・再起動をしても、記憶はリセットされる。 

つまり、元の個体の感情や記憶は全て無くなる。 

 

人で表すなら、死ぬ、と言う事だった」 

 

 

レイ「セシルの家に着くと、明かりはついておらず、ただ静寂だけが存在していた。 

 

寝室には、完全停止したニーコ。 

 

そして、ニーコを抱きしめたまま動かないセシルが居た。 

 

近くには、毒薬が入っていたであろう小瓶が転がっていた。」 

 

 

レイ「僕はこれから見ていかなければいけない。 

人間がどのような道を進んでいくのか。 

 

自立思考型学習式アンドロイドN1-CO(エヌワンシーオー)複製試作機。 

破棄されたニーコ複製計画の生き残り。 

この世界最後の、N1(エヌワン)型アンドロイドとして・・・。 

 

ニーコ姉さん・・・。僕も人間を愛せるかな・・・?」 

 

 

 

 

 

はむすたーが本体です(`・ω・´)

るいんの台本や音声作品などを置いています。

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